スポーツ教育が担う未来のコーチング① ポジティブ・コーチング・アライアンス。 

関連記事

スポーツ先進国アメリカでは、ユース世代の教育環境を整える活動ついてにおいても 取組みが盛んです。代表的な取組みとして、ポジティブ・コーチング・アライアンス(以下、PCA)の取り組む「ダブル・ゴール」などのスポーツの普及活動について紹介します。

Positive Coaching Allianceとは

PCAはユーススポーツの文化をポジティブで人格形成に適した環境に変革することを目的に活動しています。コーチ指導者のみならず、保護者、そしてアスリート・子どもたちがに、ワークショップやオンライン教育を通じて、スポーツ心理学に基づいた「勝利」と「ライフレッスン(人生における教訓)」の「ダブル・ゴール」の考え方を学ぶことができるプログラムを提供してい環境づくりを行っています。

どのように子どもたちの力を引き出すことができ出来るのか。どうすればスポーツを通じて人生で成功するための術を教えることができ出来るのかといったことは、現場に立つ指導者の悩みの種だと思います。「勝つこと勝利がすべて」だとチームで成功の定義を決めてしまうことによって、試合で負けてしまうと、試合に対して良い印象を持つことが難しくなってしまいます。

一方で、「ダブル・ゴール」の基準に立ち、選手の個人的な成長や、敗北したときに学ぶ人生の教育を重視すると、指導者も満足を得つつ選手の次の成長が見えてくるようになっていきます。

ダブル・ゴール・コーチングの基本的な考え方は「ELM」

「ダブル・ゴール」を達成するために基本となる考え方は、「ELM」の頭文字で表わされます。「ELM(エルム)」は、「Effort(努力)」、「Learning(学び)」、「Mistakes are OK(ミスをしても大丈夫)」 のそれぞれの頭文字をとった略称のことです。

野球で例えるならば 、「ホームランを打った」という結果ではなく、ホームランを打つまでの素振りなどの努力、見稽古などの学び、三振などの失敗を糧に取り組んできた気持ちなどを評価することを促す考え方です。ELMで大切なのはプロセスに着目ができ、結果だけではなくELMを評価できる出来るチームの文化(カルチャー)づくりを後押しすることだとPCAでは考えています。

コーチはもちろん、保護者の関わり方、そして子どもたち同士で結果を出すためのプロセスに焦点を当て、仲間から称賛されるようなチームの文化こそが「ダブル・ゴール」の原点となります。その結果、失敗を恐れず、学びを生かし活かしながら挑戦し続ける気持ちを育むことができるスポーツの環境が整うのです。

スポーツ指導をするにあたって、ほめることは重要です。一方で、「結果」ばかりほめるのではなく、「ELM」を捉えたプロセスに着目することで、果敢に挑戦する気持ちを持つ子どもを育むことができます。「結果至上主義」から「ELM重視」のコーチが今世界では求められています。

エッセンシャル版書籍『ダブル・ゴール・コーチングの持つパワー』

序文 フィル・ジャクソン

第1章:コーチとして次の世代に引き継ぐもの

第2章:ダブル・ゴール・コーチ®

第3章:熟達達成のためのELMツリーを用いたコーチング

第4章:熟達達成のためのELMツリー実践ツールキット

第5章:スポーツ選手の感情タンク

第6章:感情タンク実践ツールキット

第7章:スポーツマンシップの先にあるもの:試合への敬意

第8章:試合への敬意の実践ツールキット

第9章:ダブル・ゴール・コーチのためのケーススタディ(10選)

第10章:コーチとして次の世代に引き継ぐものを再考する

本格版書籍『ダブル・ゴール・コーチ(東洋館出版社)』

元ラグビー日本代表主将、廣瀬俊朗氏絶賛! 。勝つことを目指しつつ、スポーツを通じて人生の教訓や健やかな人格形成のために必要なことを教えるために、何をどうすればよいのかを解説する。全米で絶賛されたユーススポーツコーチングの教科書、待望の邦訳!

子どもの頃に始めたスポーツ。大好きだったその競技を、親やコーチの厳しい指導に嫌気がさして辞めてしまう子がいる。あまりにも勝利を優先させるコーチの指導は、ときとして子どもにその競技そのものを嫌いにさせてしまうことがある。それはあまりにも悲しい出来事だ。

一方で、コーチの指導法一つで、スポーツだけでなく人生においても大きな糧になる素晴らしい体験もできる。本書はスポーツのみならず、人生の勝者を育てるためにはどうすればいいのかを詳述した本である。

ユーススポーツにおける課題に関する書籍『スポーツの世界から暴力をなくす30の方法』

バレーが嫌いだったけれど、バレーがなければ成長できなかった。だからこそスポーツを本気で変えたい。暴力暴言なしでも絶対強くなれる。「監督が怒ってはいけない大会」代表理事・益子直美)
ーーーーー
数えきれないほど叩かれました。
集合の際に呼ばれて、みんなの目の前で顔を。
血が出てたんですけれど、監督が殴るのは止まらなかった……
(ヒューマン・ライツ・ウォッチのアンケートから)

・殴る、はたく、蹴る、物でたたく
・過剰な食事の強要、水や食事の制限
・罰としての行き過ぎたトレーニング
・罰としての短髪、坊主頭
・上級生からの暴力·暴言
・性虐待
・暴言

暴力は、一種の指導方法として日本のスポーツ界に深く根付いている。
日本の悪しき危険な慣習をなくし、子どもの権利・安全・健康をまもる社会のしくみ・方法を、子どものスポーツ指導に関わる第一線の執筆陣が提案します。